story 11

2021.04.16

 

僕にとっての僅かなサラリーマン生活は、その後の美容師人生においてとても大切な経験となった。

 大企業の教育、営業、、世間で言う「常識」

 そんなことがあったからこそ、その後の美容師人生においても、狭い職人的な見識や美容業界における「常識」と世間における「非常識」を感じていたし。

 明らかにその後に影響を及ぼすわけだから、やっぱり今この瞬間も無駄にしちゃいけないと思う。

 今と未来は必ず繋がっているし、サラリーマン生活も自分にとっては人生において「必然」だったと思っている。

 

そんな感じでサラリーマン生活を捨てた僕は、美容師(ヘアメイク)の道を目指すために東京に向かった。

 とは言ってもまずは住むところ、、

 殆ど貯金も無く、とりあえず高校時代の親友が江東区の森下に住んでいてそこに転がり込む。

 

四畳半が二間だけど、風呂なしトイレ共同で3万円のボロアパート。。

 こんな物件はもう今はないんじゃないかなぁ、、(笑)

 そこに居候させてもらいながら、まずは生活費、それと美容学校の入学代。

 

当時はまだ美容学校は年で年間の授業料も100~150万くらい。

 ただし今のような奨学金的なものはないから、少なくとも入学金くらいは貯めないと学校へは行けない。

親や親戚には全く頼れない。

 もともとそんなつもりもなくこの状況を考えていたのでとりあえず高額なバイトを探した。

 

昼間は駅のキオスク(当時JRの駅構内にあった売店)に商品を配送する仕事。

 夜は近所の飲み屋。

 全くファッションともヘアメイクともゆかりもないが、、

 とにかくお金をなるべく貯めることが最優先。

 

朝7時過ぎにアパートを出て、夕方6時に一旦アパートに戻ったら、8時から12時までは飲み屋とほぼ休みなく働いた。