story 132

2024.04.24

 

「馬鹿でも出来る仕組みを作るのが経営」

スシローの社長がそう言っていたと聞いた。

 

僕が高校生の時に、地元の工場でベルトコンベアーで動いて来る製品に同じことをひたすら続けるバイトをした事がある。

最初は「楽勝」とか思っていたけど、2週間で嫌になって辞めた(笑)。

誰でも出来る、それこそ機械でも出来る様な作業に何のやりがいも楽しさも見出せず、それ以来自分の中での「働き方」に対する大きな意識を植え付けた。

 

戦後の高度経済成長時代を生きて来た自分の父親世代はやりがいなんて余裕もなく、ただ豊かになるための手段は黙々と同じ作業を繰り返すこと。

1980年代になると、そんな時代にアンチを唱え、セックスピストルズに象徴される労働者階級の不満がカルチャーを築いた。

そんな時代を見てきた自分は、「生活のためだけではないやりがいを持てる」「自分にしか出来ない」それが仕事であるべきと思ってきた。

そのせいもあって、人をロボットの様に単純作業で成り立たせる「仕組み」に対して、「道具」として使っているとしか思えず、毛嫌いさえしていた。

美容業界に入ったのも、今思えばそんな潜在意識があってのことだったかもしれない。

 

「馬鹿でも出来る仕組み」と「唯一無二」は正反対のところにあって、美容師とはお客様に対して唯一無二の存在であるべきと思ってずっとやって来た。

それが「個性を大切にする」ということでもあるんだけど、価値観が揃っていなければ、それは「ただの動物園」(笑)。

お互いの個性という価値観のブレでぶつかって、人関係は崩れ、強い者は檻を飛び出していくだけ(笑)。

そんなことをずっと繰り返して来た。

 

最近になってまたそんなことを考える機会があって、少なくとも僕が毛嫌いしていた「誰でもできる仕組」で働く人達は不幸なんだろうか?という議論になり、結果自分自身も含めてそれは否定であった。

そもそも僕がアンチだった時代からは何十年もたち、働きやすさや環境などは激変していて、、今となれば、それぞれ個人おかれた環境において、充実できるような働き方が出来れば素晴らしいこと。

「唯一無二」と「誰にでもできる」という一見相まみえる価値観が共有でき、それでも誰もが「夢を持てる環境」というのが、自分が目指したい環境。

そのためにも優先すべきは組織計画(価値観共有の徹底)だと思ってます。