vol 160 特別な存在

最近よく外部の方達に、僕がハサミを持って仕事していると驚かれます。

外部の方からは、もう現場には立っていないと勝手に思われていますが、一応現役です!(笑)

そんな僕が最近あった、ちょっと感動したことを書いてみます。

 

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先日、高校に入学したばかりの女の子がお見えになりました。

実はその女の子は、お母さんと一緒に小学生のころから来て頂いていて、GARDENは初めてではないんですが、今回はお母さんと一緒ではなく初めて一人での来店でした。

 

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スタイルの相談をすると、「学校の校則があるので・・・」と無難に「あまり長さは変えずに軽くするような感じで・・・」まぁここまではいつもと一緒だったんですが。

カットをはじめていくと、少し照れたように、「あの・・・」 「んっ?」「あの・・・須崎さんは、どうして美容師になったんですか!?」 「エッ・・・?」(いま、「須崎さん」って言ったよね?)

いつもはお母さんの言う通りで、恥ずかしいのか、照れくさいのか、ほとんどしゃべらずにカットを終えるんですが、だから初めて「須崎さん!」なんて・・・言われただけでびっくりしたんですが。

「私、雑誌の編集者になりたいんです!」 「・・・」「どうすれば須崎さんのように夢が叶うんですか・・・」 「エ-ッ!!」

 

高校生になったばかりで「編集者になりたい!」って自分の夢を持って、それがどうすればいいのか?を聞いてくることも凄いと思ったんですが、それ以上に、「こんな風に僕の事を見ていたんだ?」ってことに感動してしまいました。

いつもだまってお母さんに連れてこられて、お母さんの言う通りにおとなしくカットされているだけだと思っていた彼女は、この数年の間で新たなお店を出したりスタッフがどんどん増えていく僕の姿を見て、それを自分なりに解釈して、彼女の中では僕が夢を掴んで行っているように見えていて。

今日初めてたった一人でここに来て今まで思ってきたことをぶつけてみようと、きっと凄い勇気を振り絞って・・・

そう考えるとちょっと涙が出そうになってきて、カットしながらいろんなことを話しました。

自分が同じ歳くらいだった時のこと、それからどうして美容師になったか?

若いころどんなに貧しかったとか(笑)、自分の解るかぎりの編集者のこととか。

 

以前にも少し触れましたが、やはり高校生から担当していた子が今はMOREの編集者として一緒に仕事してること、そんな僕の話を目をキラキラさせながら一生懸命聞いていました。

今は長いお付き合いのお客様が多く、昔は若かったお客様も立派なお母さんだったりで、その子供たちも小、中学生になっていて、そんな子供たちをカットする機会もだんだん増え、それこそお腹のなかにいた子供が今年成人式だったりとか。

 

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お客様と一緒に歳を重ねていくなかで、「価値観を共有できて、生活の中にとけこめるような存在でいたい」と。

そんな願いを持ちながら仕事をしてきましたが、これから成長していくその子供達にとっては、やっぱり特別なたった一人の「美容師」なんであって。

 

もう一度自分達の存在、自分達が与える影響、僕達が「こうありたい・・・」と思うだけででなく、お客様が我々をどう見ているのか?お客様にとって我々がどんな存在なのか?そんなことを考えさせられました。

まだ子供にみえてもいろんなことを見ていて、そんな子供たちもやっぱり可愛くなりたくて、それだけじゃなくこのGARDENで何かを感じてくれていて。

結局、お客様の数だけストーリーはあって、それに応じて、それに応えられるだけの顔を持たなければいけなくて、やっぱり「特別な存在」でもなければいけない。

最近急増してきたキッズたちですが、大人の方達と同じように「一頭入魂!」で行きたいと思いました。