vol 527 頭の不器用さ

「初心」という希望と理想だけを持ってる時、それは同時に怖さを知らないからこそ大胆な事も出来たりする。

 

IMG_2893.JPG

4月に新人研修をして、挨拶の仕方から発表の仕方、姿勢からマナーまで、きちんと教えて出来ていた事がわずか3ヶ月でできなくなっていく。

それは先輩達がそうしてないからであって、いくら自分達がそうしても、先輩の出来てない姿を見て「あれでいいんだ!?」って流されていく。

今日はウィッグを好きなように切ったりスタイリングしてみて、自分の作りたいものを自由に作れたけど、それは技術の無いぶん、怖いものを知らないからこそできることでもある。

 

IMG_2889.JPG

 

大胆にハサミを入れたり、感覚で切ってみたり、それはとても楽しいことで、それくらいの感覚で作ったほうが意外と可愛かったり。

でも技術を覚えてくると、その技術を駆使しようとしたり、逆に技術が解るからこそ変な型にはまったり、又は萎縮したり、そうやって意外と可愛いスタイルが作れなくなっていく。

 

両方とも同じような事が言えて、技術とか、知識とか、経験とかいう『道具』を使いこなすのではなく、使われてしまうというか、『道具』というプロセスに翻弄されて、本来自分で持ってるイメージとかこうあるべき的な理想を失っていったりね!

だからいつも言うように「イメージ力」が大切で、どんなイメージをどれだけ明確に描いているか?で、ヘアスタイルの完成度は決まっちゃう。

 

IMG_2885.JPG IMG_2883.JPG

 

もちろんそのプロセスも、無駄が少ないからスピーディーだし、それがプロフェショナルな仕事だと思う。

だからまず1年生の君達がしていかなきゃいけないことは、そのスタイルのストックをたくさん頭の中に持たなきゃいけないんだから、片っ端から雑誌を見て、たくさんのスタイルをファイリングしていく事。

もちろんそれは1年生だけじゃなく、全てのアシスタントに言える事だけどね!

やってなかったんなら、今すぐにでも始めたほうがいい。

それは必ずスタイリストになった時に、決定的な幅の違いになるから。

 

それと、これは同じように何に対してでも言える事で、シャンプーを合格する事も、カットをすることも、どんなスタイリストになるかも、全てはその「イメージ」で決まっちゃう。

シャンプーやカラーのチェックが受からない、イメージ通りのスタイルにならない、もちろんイメージしてたようなスタイリストになれない事もすべて一緒。

 

IMG_2874.JPG IMG_2881.JPG

 

それは手先が不器用なんではなくて、「頭が不器用」なんだよね。

お客様が気持ち良さそうに、しかもかっこよくシャンプーしている自分の姿がイメージできてないし、ましてどんなスタイリストにになってて、1日何人くらいのお客様が来てくれて、どんな風にどんな格好で、後輩からはどんな風に思われててとか。

顔周りの毛束はこんな風に動いてた方がかっこいいとか、それくらいより具体的に全てにイメージを持って望んでるか?それで全て決まっちゃうんだよね。

 

そのイメージを持てない事が「頭が不器用」という事。

 

『道具』や情報は経験と共に増えていくけど、それを駆使してどんなイメージを作り上げるか?って事が大切なんじゃない?

だからキャリアを重ねればそれはもちろん、ヘアスタイルという情報だけでは済まなくなってきて、たくさんのお客様や上に立って後輩を指導していくなら、一般的な情報も必要だろうし、それより上に行くならもっと勉強しなきゃいけないのも当然だしね。

その中で、必要なことは残し、必要ないものは捨てていき、その情報と知識という『道具』を駆使して、それでも最後はそれを使って何を作りたいか?っていうイメージがないと何もできないんだよね!

 

「イメージ力」をつけること、それが感性を磨くという事。

技術や情報を組み合わせただけでは、いつまでたっても足し算しかできない。

感性を磨いて、未来の自分をより明確にイメージして、そこから割算で全ての物事を考えて行く事、それが夢を現実にするマジック。

 

IMG_2890.JPG

 

まだスタートラインに立ったばかりの君達なら、いくらでもその感性は磨いていけるからね!