vol 600 最近話さなくなった事 2、

1、があるという事は2、もあります(笑)。

 

 

『クリエイティブ』とか『アート』とか『ビジネスライク』とか、その境目や表現方法について優劣をつけたりするのは、それぞれ『見てる角度』の違いであって、結局やってる本人がどんなプライドを持ってるかで決まるんだと思う。

日本ではP&Gにライセンスを売り、世界中にスクールを持ち、ブラントカットの神様として、未だに世界中の美容師に影響を与えている『ヴィダルサスーン』

その有名な作品には数々の逸話があり、その中でも自分が好きなのは、アシンメトリーという片目が隠れてる有名な作品で、その逸話というのが、サスーンの顧客の女優が交通事故で片目を失い、その悲劇をあの片目を隠す個性的なデザインで救ったということ。(あくまで人づての話しなので、どう脚色されてるかわからないけど、そんなことはどうでもよくて)

 

かなり前のNHKの連ドラで、『あぐり』という女優吉行和子さんの実母で美容師だった女性の生涯を描いた作品があり、当時まだご健康だったご本人のドキュメントみたな番組がありました。

70歳をとうに過ぎていたあぐりさんですが、まだ現役で何人かのお客様の髪を担当していて、その時は腰を悪くされて歩くことさえままならない80代の方で、以前は外交官の妻として世界中の社交界で活躍されてた、とてもハイカラな女性が月に一度いらっしゃる日でした。

実際にお客様として半世紀以上通われているその方が、気持ち良さそうに髪を結ってもらいながら、同じく年老いてしまったあぐりさんのご健康も心配されこう言いました。

「あぐりに髪をやってもらえなくなったら私は女性でなくなるの・・・」

その時に自分がどれだけ鳥肌が立ち、今思い出しても涙がでるくらい感動したか・・・

 

以前御縁があって、何度か東コレのヘアメークを担当した事があります。

若いころからの憧れでもあったし、ギャラなんかもちろんもらえなかったけど、一生懸命頑張りました。

結果的には成功したんだけど、その途中のプロセスとかで納得しない事が多々あり、それは演出家やデザイナーの、ヘアメークに対する、もっと言えば美容師に対する目線の低さで。

ある時打ち上げで、「俺たちは世界を相手に絶対失敗できない仕事をしているけど、美容師は失敗してもまた違う客が来るもんね!」それを聞いて、「あなた方が作ってるのだって所詮虚像でしょ!僕たちは毎日毎日現実と向き合ってて、
その仕事の価値に優劣をつけられる覚えはない!!」

そう言って大喧嘩をし(笑)、二度とコレクションの仕事はしなく(出来なく)なりました(笑)。

 

色んな考えや価値観を持って、それぞれの仕事をしてると思うけど、同じ美容師として、少なくともGARDENのスタッフたちには、そんななんかしらのプライドというか、美容師をやってる誇りというか、そういうものを持っていてほしい。

お客様という言葉をはじめにすると、何でもへりくだる事のように感じてしまう人もいるけど、誇りとかプライドがあるからこそ、謙虚に勉強し続けられる。

どんな仕事も一緒だけど、やってる自分自身がその仕事にどれだけプライドを持ってのめり込むかが大切で、そんな人たちは必ず周りに影響を与えていて、それがクリエイティブってことだと思ってる。

プライドを持ってるからこそ、よりお客様の事を知り、気づき、レベルの高いお店に成長していくもの。

こんなことも最近はあまり話さなかったので書いてみました。

(600回目ぽくなったかな?)(笑)