先日一人の新卒生が辞めていきました。
退社するアシスタントの事を書くのは初めてなんですが、彼は以前希望していたお店があり、どうしてももう一度そこに挑戦してみたいとのことでした。
「きちんとするまでは行きません」と、当り前なことかもしれませんが、そのお店にはGARDENを退社するまでは面接に行かないそうです。
でもなぜ今回彼の話を出したかというと、彼に限らずシャンプーが受からない時に、必ず自分はシャンプーの練習台になります。
そこで、ただ練習台になるだけでなく、いろんな話を聞いてコミニケーションをとろうとします。
どんな環境で育ち、どんな想いでGARDENを選び、これからどんな美容師になっていきたいのか?その会話のなかでその人の事を理解しようとします。
ちょっと控え目で、目立つような華やかさはないけれど、皆が嫌がるような地味な仕事を、黙々とこなしていた彼が、「辞める前にもう一度シャンプーさせてください!」ということで、シャンプーをしてもらいました。
GARDENに限らず、美容室にはそのお店独自の試験みたいなものがあって、それに合格しないと仕事には入れません。
それはシャンプーも、カラーも、カットも一緒です。
普通は、試験の合格点というのは最低ラインで、そこから経験を重ねることによって、プロとしての技術が磨かれて行くものです。
但し、お恥ずかしい話、シャンプーに関しては、経験していくことによって、「流す」ことを覚えてします。
ある程度できるようになってしまうと、それ以上の探究心を失ってしまいます。
それは「見えない技術」だし、お客様もそんなに評価が解らないし・・・
お客様の目線に立てば、シャンプーはとても大切なことなのに、目に見えやすい「デザイン」とかばかりに、気持ちがいってしまいます。
ですから、試験に受かりたての人の方が、指名が多く、経験を積むにしたがってそれは少なくなります。
ところが、彼のしてくれたシャンプーにはそれが全くなく、たぶん試験を受かってからも、「もっとうまくなりたい!」「もっとお客様に気持ちのいいシャンプーがしたい!」そんな気持ちを持ち続けて、常に探究心を忘れずに、流さずにやってきた、そんな素晴らしいシャンプーでした。
思うようにうまくいかない・・・
何かで失敗してしまう・・・
試験になかなか受からない・・・
すぐに目に見える結果に人は左右されやすく、要領のいいウサギタイプの人たちに比べて、すぐに結果に表れないカメタイプの人たちは、その差に苦しみます。
だけど最後は、ゆっくりでも、ひたむきに積み重ねていった人。
どれだけ自分に厳しく、どれだけ自分を甘やかしたかなんてことは、誰よりも自分が一番解っていることです。
結局、自分に厳しくやり続けた分しか、人の器は大きくなりません。
これから彼が希望のお店に入社できて、活躍できるかどうかはわかりません。
ただ、間違いなくGARDENにいた間は、誠実で素晴らしいシャンプーをしていたという事には自信を持ってもらいたい。
GARDENにとって大切なことはそんなことで、「GARDENにいるから」とか、「辞めたから」とか、そんなんじゃなくて、結局自分自身が一番わかってるその部分。
厳しく、ストイックにやり続けた人だけが勝つし、そんなカッコイイ人たちの集団でありたい!
そんな目で自分は、全スタッフを見ています。