昔よく話してたけど、最近あまり話してない事。
ずっと前にビビアンウエストウッドのビデオを観たことがある。
1970年代、不況下のイギリスで社会に対する不満を音楽にぶつけ、時代をリードしたSexPistolsを中心に起こった『パンク』というファッションムーブメント。
そのSexPistolsをプロディースした、『SEX』という小さなブティックを経営していたマルコムマクラーレンと親交の深かったビビアンは、パンクファッションに影響された奇抜でアバンギャルドな作品を次々に発表し、イギリスで認められていった。
若いうちは、社会に対するアンチなエネルギーとパワーで多くの作品を発表し、イギリス国内でメジャーの地位を獲得しますが、ある時からその気持ちが変化して行きます。
「社会に対する反発心からスタートした自分のファッションだけど、それだけではこれからは世界に認められて行かない・・・」
社会的地位や価値観が変化していく事によって、そんなアンチなエネルギーから生まれるファッションだけじゃなく、イギリス国内だけに留まらない、世界が認めるような本物のデザイナーになりたいと思う様になったそうです。
そしてロンドンコレクションを経て、NYコレクションへの初参加。当時も「プラダを着た悪魔」のミランダのような有名ファッションエディターがいたらしく、その人に認められなければNYでは成功を収められないと言われていたそうです。そんな有名エディターを特等席に招待し、パンクから脱却して世界に認められるためにクリエイティブしたNY初コレクションのコンセプトは「パイレーツ(海賊)」
そして翌朝、そのエディターが編集長を務めるファッション誌の巻頭には、「イギリスの海賊がNYに上陸し世界を席巻した!」
その時ビビアンは、「自分はもう小さな島国で社会に対する不満をぶつけていただけのちっぽけなデザイナーではなくなった・・・」そう思ったそうです。
20代半ばにこのビデオを観た時、まさに自分の中で何かが変わろうとしていた時で、地に足が着いていない「自分という小さな世界の中の価値観」にこだわり、自分で自分の世界を狭めていた自分から、少しづつ自分の可能性を見出し、社会の広さを少しだけ感じ、下ばかり見て立ち止まってた自分が、前を向いて歩き始めるちょうどその頃だった。
だから当時の仲間達と何度もそのビデオを観て、「認められる」という事がどんな事なのか?
をよく話したり考えたりして、そして自分もそうやっていつかは「認められたい!」と思っていた。
今はそんな話をする機会が殆どなくなったし、そんな事を聞きたいと思ってる人も少ない気がする。
そういう事に価値を見い出さなくなったのか、あまり大きな声でそういう事を
言う事が恥ずかしいのか・・・?
自分の中にそんな「欲」みたいなものがあって、若いうちほどそのエネルギーで突っ走っていないと、何も壁は破れない気がする。
自分もそんな気持ちを忘れず持ち続けたいけど、GARDENのスタッフたちもそんな想いを沢山持ってもらいたい。
そんな風に思って書いてみました。