vol 215 「こっちの都合」 

最近よく、「なぜGARDENにこんなにお客様が来て頂けるのか?」ということを業界の方に問われます。

突出した「売り」があるわけでもないのに・・・と。

 

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確かに、カラーとかカットにGARDENのオリジナル色をだしているわけでもなく、今風の個室や癒し空間があるわけでもなく、かと言って特別なサービスもしていません。

だから、なぜGARDENが・・・?というのが、分析、理解しにくいみたいです。

 

最近この業界でもやっと、「お客様第一主義」とか「顧客満足」をコンセプトに掲げるお店が出始め、ちょっとした話題になるくらい流行っていると聞きます。

「やっと出てきたか」というのが正直な感想なんですけど、彼らはきっと今までのような職人美容師的な発想ではなく、最初から経営者思考というか、美容室というビジネスを見据えていて、職人としてのこだわりという「個」ではなく、お店という集合体としての「全体」を見ているんだと思います。

 

飲食の業界を見ていると、職人発想でやっているお店には、やはりこだわりのある、全体の中ではほんの数パーセントのお客様が固定客となり、また職人経験の無い人間が経営するお店の場合は、お客様の視点で経営するため、時代やお客様のニーズに合わせる分、当たる店は流行るし、当たらないお店は流行らない。

一概には言えないけど、これは美容業界でも多くの部分で当てはまると思う。だれもがリスクを負って経営してるのだから、そんなことくらいは当然解っていると思っています。

でもそうじゃないから勝ち負けに分かれてしまう。

 

徹底的に市場が求めるものの追求、マーケティングに沿った展開、お客様が求めるなら何でもするという発想。

自分達の主義主張を押し付けたり、自分達を認めてくれる人たちだけが、自分達にとっての客だという発想。

 

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もちろんどちらも極端なことで、大抵はその間でどちらかによりながら方向を見出してるものです。(もちろんGARDENも同じですが・・・)

ただその微妙な差が実は大きくて、お客様からすると、そのスタンス次第で選択は大きく変わってしまいます。

ではこのお客様が感じてしまう大きな違い、我々のような職人思考の人間に気付きにくい事とはなんでしょう?

それは「こっちの都合」です。

 

売り手側の都合を、知らず知らずに押し付けているという事。

お客様の望んでいる先を提案する事と、「こっちの都合」を押し付けること、我々の業界では、この違いの見極めや認識力が低い。

「なぜそうなってしまうか?」というと、それは閉鎖的だから。

閉鎖的な社会では、消費者や買い手の動向や気持ちが理解できない。

というか、する必要がなかった。

だからすべて、「こっちの都合」で済んでしまう。

 

「顧客第一主義」も「顧客満足」も、GARDENの目指すブランドも、結局はこの「こっちの都合」と、お客様の望まれる事の狭間で、どこに答えを見出していくかという事。

「自分達がどれだけの事をやってきたか?」というプライドを、どんな形でお客様に伝えていくのかということ・・・

それがプロフェッショナルということなんじゃないかなぁ。

 

GARDENをどのポジションに置こうとしてるのか?それはなぜなのか?少なくともその事については、確信を持ってやっているつもりです。

まだまだだけど、「こっちの都合」の改善を、毎日毎日、少しずつ続けてきたつもりですし、これからも続けなければいけないと思っています。

その積み重ねが大きな違いとなるし、その違いが、「見えるか見えないか」の違いにもなっていくと思う。

そうなれた時にはじめてプロフェッショナルと言えるんであって、王道だとか、人としてちゃんとする事もできるんだろうし、そうなるまでは、所詮アマチュアなんだろう。

 

もっともっと今のお客様たちに応えていくために、もっともっと多くの方たちから支持して頂くために、「こっちの都合」じゃないGARDENを目指していきたいと思います。

「こんな長い小難しい事を言ってる事自体が、すーさんの都合なんじゃないですか?」と、森内さんには突っ込まれますが・・・(笑)