20年くらい前に自分がこの世界に入ったばかりの頃は、真っすぐで正確に切れてれば「素晴らしい」と称賛されていた。
そんな時代から「バランス」や「質感」の時代を経て、「似合わせ」という時代になり、「顔立ち」や「テイスト」と言った『外見』に対していかにバランスよくスタイルを作っていくかという事。
その頃から「美容師ブーム」みたいなものが始まり、確かにあの頃は「一駅一月」、つまり一駅表参道原宿界隈から離れると、一月デザインが遅れてるとまで言われるくらい、この辺と地方のレベル差があって、それも手伝ってこの界隈に全国からお客様が雪崩こんでいた。
「ラインを正確に」という2次元から、「似合わせる」という立体の3次元になり、で、そこまではマニュアルとか技術である程度教育出来るものなんだけど、今はそれだけじゃ通用しない時代になっちゃった。
お客様がなんで遠くから予約してまで足を運んで頂けるかというと、もっと可愛くセクシーになりたかったり、もしくはもっと簡単に手入れが出来るようなスタイルになりたくて。
だけどどうすればいいか?がわからなくて、「こうすればもっと良くなるかな・・・」って3割くらいのイメージは持ってるけど、残りの7割を美容師さんに決めてほしくて、もちろんそれで「良くなれた!」って実感したいから来ている。
30代中盤くらいの女性は、美容室に来た時「どんな雑誌を出されるか?」ですごくテンションが変わるという(笑)。
それは20代のテイストの違う違和感とかのそれとは全然違って、そういった女性の『内面』にある気持ちを、五感をフルに使って感じてないと、お客様の気持ちなんて到底理解できない。
来店された時のフロントの対応、シャンプーの時のちょっとした声掛け、そんな些細なことが、お客様にとってはどれだけ大きな事かを感じられないと、お客様の欲しいものには当然答えられない。
それが今の4次元の時代であって、技術やデザイン力の差が益々なくなるこれから、そこを感じ取れるスタッフをどう育て、その環境をどう作るかという事。そこではやっぱりマニュアルだけではだめで、ルールを作るのではなく、やはり「風土」を作らなきゃ。
今年入社したばかりの20歳そこそこの子達に、「30代の女性の気持ちを理解しなさい」なんて言っても到底無理な話で、そこは最低限何をすべきかを教えるべきなんだけど。
最終的にはその環境や風土がスタッフに沁みこんでこそ自然とそうなるもので、それも全ては普段からリーダーたちがどんな価値観を持ってるかで決まってくるんだよね。
「楽しく勝ち続ける!」為にはやっぱりそこなんだよね。